エルフの日々

誰にも「約束」された場所があり・・そして誰もがそこを目指して一生懸命歩いてる
<< August 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

木霊

 

木霊

 

誰かを責めたり、誰かを打ちたたきたくない。

あるがままの、そのままの今を見ようとしている。

それでも、この2年に何が変わったのか、自分が何をしてきたのか。

振り返ると、只々茫漠とした同じような風景の中を彷徨っている。

何処まで行っても敗戦処理。何処まで行っても満たされた例はない。

 

 

県北の某所。

激しい高齢化。跡継ぎのない田畑は作物を作るよりも、保障金をもらった方が金になる。

牛は食品基準を超えてもかまわない。全部買い取ってもらえるから。

子供の居る家庭と、居ない家庭との補償金の違い。

悲しいかなそれだけで、地域の繋がりはぎくしゃくしてしまう。

もう、二度と元には戻せない。

 


沿岸部某所。仮設の一角で。

力の限りを尽くして始めた養殖筏。でも売れない。

町に贈られた測定器。でも怖くて誰も量らない。

津波は2度来たのだ。ただ、2度目は人の起こした津波だった。

数千万の借金と共に、もう一度沈むのかもしれない。

最近、お寺と葬儀屋だけが忙しい。

 


街中某所。

仮設の横で進む再開発。

巨大で押しつぶされそうな建物群。新しい街。

生活の匂いはしないけれど、近未来を意識した大型ディスカウントスパーの群れ。

地盤沈下で悩む商店街。時代の波ではなく、人為的な波がここにも存在する。

有象無象が織りなす人間が吐き出す垢の縮図。

産廃業者が引き取りを拒む程の汚染が、ただ蓄積される。

 


都内国立某所。

放射線の影響は、そのエビデンスが確立していない以上何も言えない。

廃棄物の処理場は、地元に決めさせればいい。どうせ自分たちでは決められない。

諦めるまで待てばいい。諦めて自ら出ていけばいい。保障する金はもうないのだから。

余計な話をする下請けは即座に外される。餌を与えれば尻尾を振る連中なのだから。

東北に家族は連れて行かない。「八重の桜」のポスターの前で。

彼らが紡ぐ言葉は真実で、そして悲しい。

強大で富んで広域でそんな絶対的権力。敗戦処理だけが役目の彼らの言葉は、しかし、新しい時代には引き継がれることはない。

虚しさを背負ってただ立ち去れ。

 

 

新しい風が吹くことを信じている。

自分たちの世代が負った負の遺産ではなく、新しい価値観と新しい仕組み。

次世代には、そんな世界で生きてほしい。

茫漠とした路の先に、きっと約束された土地があるのだと信じたい。

先にその場所に気が付いたら、そこで小さな灯りを燈して待っている。

灯りに気づけない時は、小さな鐘をならそう。

誰も責めることなく、舌打ちしながら、ただ歩く。

そんな日々。

 

 

エルフの日々は今回で終了します。

新しい時代を創る人々と、いつも一緒にいるつもりです。

いつか約束の地にたどりつくことを願い。

2013.04.30 Tuesday 18:44 | comments(0) | trackbacks(0) | 
<< 新年所感2013 | main |