エルフの日々

誰にも「約束」された場所があり・・そして誰もがそこを目指して一生懸命歩いてる
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主よ人の望みの喜びよ2

 主よ人の望みの喜びよ2


  半年ぶりに河原に立った。
先日の大潮で、鱒は河を昇り始めたかもしれない。
この時期仙台湾は、流入河川から送り込まれる雪白水で濁り、そして豊穣となる。
その豊穣の海から、健気に魚達は戻って来る。
今年の雪白は、豊穣ではあるけれど、壮絶に汚染されている。
それを知っていても、健気な彼らに会いたいのだ。

 
 仙台湾に留まらず、陸前高田までの海域の魚達から基準を超える汚染物質が検出されたことを新聞が伝える。
露地物のほうれんそうが基準を超えた。
土と水。私達の命。命の営みを汚すのは誰か。


  福島第一原発事故の後遺症は、私達の暮らしに大きく影を落としている。
1年前に考察していた状況は、あまりに甘かった。                               
既に若い世代を中心に県外に移住している人々は、相当な数に上っている。
行政発表とは裏腹に、仙台市内であっても外部被爆は年間積算1ミリシーベルトを超える。
それは、簡易測定器を持っていれば、実は誰にでも判る事実である。
土壌汚染は、場所により放射線管理区域に匹敵する。
今月より、食品基準がキロ当たり500bqから100bqに変更された。
食品内部被爆だけを考慮すれば、100bqなのだろう。
しかし、外部被爆をも考慮すれば、食品の基準はキロ当たり40bq以下となる。
何処からが危険で何処から安全なのか。安全の絶対値は誰にも答えられない。
外部被爆と内部被爆では物理的に全く性質を異にする。
ドイツの食品安全基準は、子供は4bq、大人でも8bqである。
無知であること、無関心でいること、むやみに恐れ目を背けることは将来に禍根を残す。
この地を守るために、私達の生活を守るために、今何ができるのだろう。


 通称「あんてん」。U-10が活動し始めて暫くたつ。
農業や漁業の一次産業に携わる人々は、出荷する全ての商品検査が可能である。
会費で運営される市民検査所は、商品の検査のみならず、簡易に土壌検査や環境検査を
可能にしている。
そこから得られる知見は、様々な形式で汚染対策を実現できる。
研究者がその裏づけのための根拠を示し、継続した研究が可能である。
出荷される商品は全てがキロ当たり10bq以下であり、市民測定所が保障している。
出荷された商品は、地元会員の小売店で「U-10」のブランドで販売される。
いちいち消費者が商品検査しなくても、地域の流通は守られている。
一次産業だけではなく、加工品や飲食店に於いても会員には同様の保障が為される。
一般市民も会員として参加できる。
様々な地域情報が還元されるし、不安を持ったらいつでもワンコインで測定ができる。
低被爆地域で暮らしていくためには、環境や食品に関する注意だけではなく、定期的に簡易にホールボディカウンターでの検査を要する。これも少なくとも1年に何度か検査できる体制が取られている。
子供達や妊婦だけでなく、定期的に安全な地域でのリフレッショローテーション(保養)
のサービスも受けられる。
この連休と今年の夏休みは十和田や青森で過ごす予定である。
地域には、小さいけれどU-10の事業所が沢山あり、そこが情報やサービス提供の主体になっている。
全ては、この地で生活する人々がU-10会員となって連結し、市民や企業が様々な連結を
結んだ形で問題に対処している。
間もなく、U-10福島とU-10関東ができる。
東日本皆がその地域で生活してくために必要な条件を共有し、発展させる。
この地で生活できないのは、放射能汚染でもなければ風評被害でもない。
人々が、主体的に生活者としての役割を果たさないことにこそ、その理由がある。


 私は夢見てしまう。
そして、もしかしたら間に合わないのかもしれないと不安にも思う。
間もなく、小さな「U-10」が始動する。
鱒達は、今年も子孫を残すためにあの海から遡上する。
不安を押し込めるために、私は河原に立つのかもしれない。
まだ、膝を着くわけにはいかないのだ。

2012.04.09 Monday 16:12 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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