エルフの日々

誰にも「約束」された場所があり・・そして誰もがそこを目指して一生懸命歩いてる
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今のこと・これからのこと

 今のこと・これからのこと


 テレビやラジオで、あの日から半年たった被災地を伝える。
6ヵ月という時間が長いのか短いのか。身体的には長く、心情的には短く。
生活を再建するには短く、事の推移を見守るには長い。
終わり無き耐久レースは、人々を疲弊させる。
定かならざる「希望」は、更に心情を不安にしている。
いろいろあり過ぎた夏が終わり、荒涼とした風景に吹く風は変わっても、皆が背負う荷の負荷は変わらない。


 
「確かな明日作戦」は第3ステージに入っている。
余震を含め非常事態に最低限備える試みは、実行されている。
これは、いつか使うかもしれない防災ではない。
生活を保障する何ものかがない限り、この地で確かな明日は存在し得ない。
ハイリスクな状態の利用者やご家族の安心は、同時に私たちの安心でもある。
手動式吸引器は、県の指導を受けながら看護師がご家族とトレーニングを積んでいる。
未だに行渡らず不安に思っている方々は、どうか私たちに相談して欲しい。
在宅酸素を要する方々は、非常用バッテリーや予備ボンベのストックが為されたが、
それでも数時間の時間的余裕である。
ある公的会議で医療関係者が、業者任せの発言をした事に、憤りを超えてただ呆れた。
オムツ、非常用食材、水の確保は、2週間分はストックしたが、今後必要に応じた対応が、もっと広域で実施される必要がある。
在宅支援の活動は、更に車両をはじめ移動手段の確保が重要でる。
弊社車両は、夕方には全ての車両が満タンになって戻って来る。
ガソリンや燃料の確保は、日ごろから関係機関と綿密に連携を取らなければならない。
計画の実施に伴って、利用者さんやご家族と様々な不安を共有し、その共感から対策を実施する事こそ大事なのだと深く学んだ。



 地域内の状況調査は、第2回目が実行され、現在データ分析が進んでいる。
最も注目すべき事は、住所変更が為された利用者さんが全体の15%に達している事。
しかも、一度ならず複数回の住居変更を為された方々が少なからず存在する。
仙台市内は津波被害が東部に限定しているにも関わらず、相当な人口動態が起こっている。
これがもし沿岸部の市町村であったり、原発の影響を受けている地域であれば、更に大きな人口動態が起こっているだろう。
環境の変化に対応する事が如何に困難であるか、私たちはよく知っている。
少しの生活環境の変化で失われるものは、あまりに大きい。
入退院を繰り返す背景にあるものに、私たちはもっと敏感にならなければならない。
仮設住宅は、地域によりその色彩がまるで異なっている。
それまでの地域のコミュニティの力がそのまま反映している。
沿岸部や原発影響地域では、強制的にそのコミュニティが引き裂かれている。
状況に応じた支援体制と、十分な耐久力を持つシステムが待たれるが、恐らくそれは与えられるものではなく、自ら構築していく意外に路はないだろう。
長期的視点で仮設住宅や利用者さんの生活環境の研究が必要である。



 世情は混沌の中にある。
経済的不安は何処にでも存在し、大きな渦の中で皆が翻弄されている。
義援金や生命保険は失ったものの大きさに相関はしない。
今が精一杯で、次が見えない。
住む場所も仕事も地域の絆も失った多くの人たちの存在。
津波エリアだけでなく、密かに仙台の街中にまで不安は達している。
雇用を生む何かを興す事。単独ではなく協力しあう事。
得られる利益は、それが何であれ皆で分かち合い地域に還元する事。
それ以外に、この地で生き抜く術はない。
今月、福祉機器関連の経営者が会し、今後の協力関係を話しあう機会を得た。
三陸道と東部道路を使えば、北部沿岸部や南部被災地に新しい物流を起こせるだろう。
様々な業種の人々と繋がる事で、自らの専門分野に留まらない地域貢献が可能になる。



 放射能は既に身近になってしまった。
事は福島の人々だけの問題ではない。
子供たちが遊ぶ市民公園にホットスポットが存在することは、意外に知られていない。
既に仙台市内であっても、年間の被爆量が嘗ての基準を超え始めている。 
何より深刻なのは、市民が行政を信じていないことにある。
情報があまりにご都合主義に操作され、確かなことが分からない。
この地域に留まらない。この国の根幹に関わる大きな津波が今そこの在る。
右手に「復興」を左手で「防御」を。この姿勢にある事こそ人々の疲弊の根源である。



 蝉の声はいつしかすず虫の声に変わり、沢の鱒は婚姻色を帯びて錆びる。
今年鮭は川を昇るのだろうか。頭を垂れる稲穂は汚染されていないだろうか。
もう半年立つのだ。でも変わらぬ風景は、まだ半年なのである。

2011.09.19 Monday 23:35 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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