エルフの日々

誰にも「約束」された場所があり・・そして誰もがそこを目指して一生懸命歩いてる
<< July 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

続13歩のレース「明日のための一歩」

JUGEMテーマ:介護

 続13歩のレース「明日のための一歩」

 
  この半年、彼がどんなトレーニングをしていたのかは知らない。
太平洋岸東北地方の高校生皆が背負ったハンディを、彼もまた受け入れていた。
震災から1ヵ月後
彼のホームグラウンドであるグランディ宮城スタジアムの傍を通った。
遺体安置所のスーパーアリーナの前で、彼は何を想ったのか。
当時何ヵ月かかろうと、この地で若い人たちが競技できる日が来ることを切に願った。
できるなら、被災し、犠牲になった方々やそのご家族と共に、深い傷を負ったこの地を、若い生を昇華するかの如くの躍動で鎮魂してほしかった。
残念ながら震災から3ヵ月を過ぎたけれど、彼のホームグランドは開場していない。

 
 400mの距離を障害を乗り越えて走る彼の競技は、野球やサッカーの様な華やかさも、バスケットやバレーボールの様な黄色い歓声もない。
6年間競技し、半年前に掴みかけた何ものかをもう一度確かめるために、彼はスタートラインに立った。
スタートラインの位置は、残念ながらグランディではなかったが、あの大震災から僅か3ヵ月で、若い人たちが競技できる環境になったことに感謝したい。
津波被災地域や大きな犠牲を出した地域から出場する選手たちの姿。
恐らく何の調整も、十分な練習もできなかったであろう被災した子供たち。
互いに境遇を理解したその視線の先にあったものは何だったのだろうか。
それは、観る者を応援する者をそして地域の人々に感極まるだけの感謝と感動を与えた。


 彼の13歩のレースは、その場で結実した。
何をするべきなのかを理解し、そのために情熱と努力を重ねた彼を誇りたい。
しかし、何よりも感謝したのは、レース後に自ら他の選手たちに握手を求める彼の姿であった。
レースの結果よりも、互いの健闘を称えた若い人たちに、私たちは確かなこの地の未来を見せてもらった。


 歓声も心ない噂も、目の前にある大きな障害も、深く傷ついたこの地を覆う暗雲も、
確かな明日を創る若い躍動があってこそ救われる。
私たちは、それを目前で観ていた。


 今日、私たちにとって確かな明日につながるニュースがもたらされた。
平成23年6月29日。私たちは新しいサテライトの建設を始める。
新しいサテライトは、フォーレストが目指して来た「専門職の地域独立」の第1号である。
仙台圏で多くの犠牲を生んだその地に、私たちは未来の第1号を創る。
自らのためにではなく、地域に貢献するための仕事。
この地の未来を背負う世代に、確かな環境を残す仕事。
そのために、今何をしなければならないのかを理解し、着実にその約束された場所を目指して努力したい。


平成23年。大震災の記憶と共に、私たちは確かな明日のための一歩を始める。
互いの健闘を称えることは、若い人たちだけに任せるわけにはいかない。

2011.06.23 Thursday 12:29 | comments(0) | trackbacks(0) | 
<< フォーレスト通信14 〜明日のためにその3〜 | main | 夏・空・海 >>