エルフの日々

誰にも「約束」された場所があり・・そして誰もがそこを目指して一生懸命歩いてる
<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

フォーレスト通信10不明を恥じる

JUGEMテーマ:介護

 己の不明を恥じる

 
 震災から46日目。
雷響き、冷たい空気と激しい雨。桜の華心配する余裕もなし。
仙台東サテライトは、明日再オープンを迎える。
ここまで2度積み木を崩された。
積み上げたものを理不尽にしかも何ら躊躇なく崩されると膝をついてしまう。
理不尽に対する怒りがある内はいい。山積する問題に挑める内はいい。
それが延々と続き、理不尽に諦める事を覚えると、そこに危機が待っている。
不確定な不安。命の儚さを目前に見てきたここまでの日々は、単純な疲労ではない。
浅はかで半端な思慮。義憤を頼りに猛進する愚かしさ。振り絞る忍耐頼みの日々。


知っていたはずなのに。分かっていたはずなのに。


 無精ひげと目の下の黒いかげ。
たまには風呂に入れよなと言いかけて、緊張を解くことへの恐れを知る。
楽をすることを恐れ、危機を忘れることを戒めている。
いいのだ。今夜は休んでくれ。


 圧し掛かる責任と義務。大儀を知って、皆を背負う司令塔。
自分の分を超えぬよう、折れてしまわぬよう、忍耐を重ねている。
酒は控えろよな。眠りが浅くなる。


  病的に机に向かっている。義務を果たすことに、自らの使命に従順なる人。
顔色が悪い。座位姿勢に疲労が見える。転んだ傷は癒えたのだろうか。


 元気がない。弾ける笑顔がない。耐久レースに疲れたみたい。
フィールドにある現実は、いつも元気を奪うものばかり。
君のせいではない。出来ることすればいいのだ。


 夕方小走りに家路につく。待ってる人たちがそこに居る。
一日何役もこなさなければならない。そこに居なければならない人。
帰ろう。みんなお腹空いてるよ。


 肉親の葬儀は済んだのだろうか。弔いをしながら果たす責任と義務。
何もしてやれない。当たり前の言葉の陳腐さ。
悲しみは忘れなくていい。弔いはしばらく続くのだから。


 もう「大丈夫です」の言葉はいらない。
もう無理はさせない。もう独りで頑張らなくていい。
君の今日の負傷は、堪えたよ。


 チームは今限界を超えている。
知っているはずだった。でも、ここまでの過酷な日々に応える術が今はない。
一人一人の顔を思い出すだけで涙が出そうになる。
感謝でもなく、尊敬でもなく、愛情でもなく、義務でもなく。
ただただその労に報いるなにかを想う。
不確かな明日。終わりなき耐久レース。日々繰り返される不条理と不合理。
己の力なさをただ嘆く。己が不明を恥じる。


 かたあしダチョウのエルフは、為す術なくただ立ち尽くす。
一番膝をつきかけているのは、自分なのかもしれない。

2011.04.26 Tuesday 04:33 | comments(0) | trackbacks(0) | 
<< フォーレスト通信9「確かな明日作戦」 | main | フォーレスト通信11「確かな明日作戦」始動 >>