エルフの日々

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連携ケーススタディ1【退院・退所時移行支援プログラム】

JUGEMテーマ:介護

 【退院時移行支援プログラム】・・病院や施設を退院・退所して間もないケースの場合

ケース1
 79歳男性。内部疾患で長期入院を余儀なくされる。廃用性症候群。歩行が困難でトイレはオムツで全介助状態。食事すすまず・・若干認知症傾向ありか?
相談は、何とかリハビリで動けるようになって欲しいとの事だった。

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 廃用性症候群=リハビリと言う図式は、実は殆どのケースで的を外している。
この場合利用者さんニーズとご家族ニーズは一致しているようで実は異なっている。
ご家族のニーズは介護についての内容に集約されるし、ご本人のニーズは身体的な内容に集約さ       れる。提供されるサービスは単純にレスパイト目的のプログラムでは状況を悪化させてしまう。
まずは現状のニーズをどう捉えるかが鍵となる。
 
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 退院・退所から在宅療養生活に移行時は、特に医学的な管理と身体的なコンディショニングを前提に在宅生活を再構築していく作業が肝要である。リハビリの提供は寧ろ環境の設定や福祉機器のセッティングや介護手法の開発等に重点が置かれるべきで、筋力や運動能力の開発はその後の対応となる。
実際このケースに於いても、栄養状態の改善と内部疾患に対するリスクの把握が為され且つ排泄や食事と言った基本的な生活が保障された段階でかなり生活は落ち着いた。  
この段階までは、主治医を中心に訪問看護師とヘルパーそして家族がリスク回避とコンディショニングに徹したサービスを提供する。リハスタッフは主に療養環境の設定とトランスや座位の保障等で介入しただけである。
脳卒中等運動器に対する早期介入が必要な場合であっても、まずは医学的管理と現状での生活保障が優先されないと、その後の運動器に関する介入がスムーズに実行できずに時間だけを浪費してしまう。
しっかりとしたサービス提供が為されると、意外にこの生活保障期間は短い期間で済むケースが殆どである。そのタイミングを見計らい看護師から訪問でのリハビリや通所事 業に適宜サービス移行するとその後の身体的・精神的改善は目覚しい効果をあげる。
このケースの場合は極短期間の訪問リハビリで外出できるコンディションを創り、その後リハビリの充足した通所事業所にサービス移行となった。その結果、退院から6ヵ月程で日常生活はほぼ自立域に達した。後に要介護度4から要支援1にまで改善。又認知症と思わせるような反応は解消した。
  
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ケース2 

   往診活動に精力的なスーパードクターからの依頼。
65歳男性。悪性腫瘍が骨盤に転移。在宅生活を希望されたターミナル支援である。
リハビリに期待されたオーダーは単純明快な事象であった。
ご本人が日中居間で過ごしたいというニーズに対する車椅子座位の保障であった。
医師と訪問看護師は全力で疼痛や全身状態のフォローにあたっていた。
医学的管理と並行して、訪問での理学療法士の役割は股関節の屈曲角度を念頭にした座位姿勢の確保と、ご家族でも可能なトランス手法の開発を極短期間に可能にすることである。骨盤転移しているため病的骨折のリスクあり、医師と相談の上過度な屈曲を伴わないトランスと座位姿勢の構築が決められた。
結果として、約1ヵ月10回未満の訪問回数でご家族がリクライニング車椅子に移乗させ、午前午後と決まった時間内居間で過ごす事が可能となった。
その後何度かメンテナンスを要したが、ご本人ご存命中は最後まで居間で過ごすことができた。
  
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 退院時移行支援の場合、疾患・障害に関するリスクと生活保障若しくは再構築の観点でのニーズを最優先し、障害の変化に伴ったサービス提供の変更と最も専門性を発揮できる職種の投入が必要である。
自らの専門性の万能感で他職種との連携を阻害するのならば、利用者さんのニーズもご家族のニーズも満たせず、エゴイスティックなサービス提供になってしまうだろう。
又、障害が重度な場合や生活そのものが成立困難な家族機能の場合、意外にもレスパイトを主眼にしたサービス選択が為されがちで、本来のニーズとはかけ離れた結果を生んでしまう。本来到達できたはずの生活レベルには程遠い悲劇的な状況を人為的に作ってしまうことになる。
退院・退所から在宅生活へ移行する支援プログラムは、多様で複雑なニーズを整理し、生活の安定化とその後の療養の方向性を確保できることが必要である。

そのためには、多職種多事業連携と状況変化に対応したサービス提供の変更が肝要である。
  
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 参考 
 https://ssl.miwapubl.com/products/detail/933
 http://www.team-forest.net/g1/images/20.pdf

2009.06.18 Thursday 17:24 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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